第2章

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そんな、酷い自己中心な友愛を語る気なんて、サラサラない。 そう言うのは、王道転校生にでも任せておけばいい。 「まぁ、俺まだ山中君のことよく知らない訳だけど、1回話してみてよ。クラスメイトなんだし、相談、乗るよ?」 おお、クラスメイトって言った! 一瞬でも王道転校生について考えてしまったから、クラスメイトと言う響きが美しいな、おい。 「初日の写真の件もあるしね。野瀬ちゃんからデータ貰ったんだ。 綺麗に撮れてて驚いたよ、野瀬ちゃんの可愛さが余すとこなく写ってて。 今、待ち受けにしてるんだ。ありがとう、良ければまたデータ頂戴ね?」 ……待ち受けの共有、だと!? 不意打ち!チクショウ、胸が高鳴るじゃねぇか!! 「そっか、喜んでもらえたなら何より。 じゃあ、俺の話聞いてもらおうかな……」 どうぞ、どうぞ。と人懐っこくて、それでいて大人びた雰囲気の微笑みに促されて、俺は今朝の出来事について、簡潔に、告げた。 「目玉焼きが、割れたんだ」 「…………ん?」 「だから、朝食の目玉焼きを焼いてる途中、割ってしまったんだ」 「……へぇー、そうなん?」 お前は親分か。 「え、何それ、それで落ち込んでたってこと? 確かに、ある程度ショックは受けるけど、登校して今になってもそれ引きずってるって、え?そんなに目玉焼きに命懸けてたの?」 「当たり前だろ!俺は目玉焼きの黄身は断固半熟派なんだ!そりゃあ固めでも美味しいよ、鶏卵は!つーか、卵と言う存在自体が美味しい!ご飯だろうがパンだろうが麺だろうが何にだって合うし!生卵から温泉卵に至るまで、それ自身だけであんなにも調理法があるんだ、凄ぇよ!卵があるだけで食卓に光が差すよ!だから、朝の目玉焼きはかなり重要な役割を持ってるんだ!目玉焼きを作ろうと思った日は、もうそれなしには1日が始まらないとすら思える!火加減、フライパンの温め具合、油を引くタイミング、卵の割方、卵を落とす距離とタイミング、フライ返しでひっくり返す時のバランス感覚、さらに乗せる瞬間の緊張!どれ1つ誤ってはならない、差し詰め卵との決闘であり共闘!俺は、もうそれが上手くいきさえすれば、その日の全てを達成したと言っても過言ではなっ」 「「過言だ(よ)、バカ」」 「っつ!!!」 舌!舌噛むところだった!! なんてことするんだ、 「コー、コヘ!」
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