第2章

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「だから、今朝は話しかけたくなかったんだ」 やれやれと、首を振りながらコーが言う。 「寿君は初めてだろう?サクって料理が趣味で、それなりに得意なんだ、俺たちの弁当、いつもサクが作ってるんだぜ?」 俺たちは、と言うかコーが食堂に行くとか、聴覚に対する自殺行為だからな。食堂には偶にしか行けないんだ。 始業式の日みたいに、空いてそうな日とか、時間をずらせる日とかにしか行けないから、大抵は俺が弁当を作る。 「へぇ、じゃぁ、料理に対する人一倍強い思いから、あんな風になっちゃうんだ?」 寿君、あんな風ってなんだ。 「まぁね、でも、俺たちがもう慣れちゃって、いつもスルーしてたから。久しぶりに話し相手が見つかって若干テンション上がってる感じではあるね」 「あぁ、うん、成程。 よし、これからは俺もスルーしよっと」 寿君、君から相談に乗ると言って置きながら酷くないか? 「ま、一通りぶちまけられて、少しは落ち着いたんじゃない?サク」 「……まぁ、な」 「でも、珍しいよな。新しいメニューに挑戦した、とかならまだしも目玉焼きだろ、失敗したの。サクがそんな初歩的なミスするなんてなー」 おい、コヘ、俺がさっき散々目玉焼きの超絶繊細な調理法について話してるの聞いてなかったのか、目玉焼きってのはなぁ…… 「なんか、雪が降ったり槍が降ったり、変なことが起こるかもな!」 俺が、目玉焼きの奥の深さについて講説を垂れようとする前に、 ケラケラと、笑いながら、 コヘは、あっけらかんと言い放った。 ……キーン、コーン、カーン………… チャイムが鳴って、同時に佐倉先生が教室に入ってきた。 「皆ー席付けー」 「今日は皆にお知らせがあるよ」 タイミングがタイミングだっただけに、 嫌な、予感がした。
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