第1章の前に

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えっと、さっきも言ったけど、俺はお金持ちの通う王道学園でもそれなりに、普通の高校生活を送ってたわけ。 それこそ語り部に相応しい位には。 そんな語り部ポジションな俺にも友達が、親友がいる。 その1人がさっきからちょこちょこ出てくるコイツ。 青生 小日向(あおう こひなた)16歳。俺の寮での同室で学園入って最初の友達。 容姿はな、イケメンだ。 以上! 「……………………」 んだよ、それ以上何を言えってんだよ。爆発してくれ、とかか? …………まぁ冗談だよ。そんな目は口ほどに物を言うって目で見ないでくれ。俺なりの褒め言葉だよ、受け取っとけよ。 とにかく、イケメンなんだよ。 180cmの高身長に、バランスよくついた筋肉は無駄に主張せずスラリと伸びる手足。 柔らかい色合いの茶髪は、地毛らしくふわりと風になびく。今は程よく首を隠してるが、一時期伸ばしててくくってる時は、その白いうなじに教室のちっこ可愛いワンコ達に眩暈を起こさせるほどの色気があった。 顔立ちは爽やか。二重の目の瞳は澄んだ黒。薄い唇は淡い桃色。差し詰めブロンド碧眼なら完璧白馬の王子様ってとこだ。 その上性格美人。この容姿を鼻にかけることなく、クラスの人気者だが、謙虚な立ち振る舞いで要領よくクラスに馴染んでいる。 神はコイツに物を与えすぎだと思う。割と本気で。 で、出会いだが、特にひねりはない。入学式二日前の入寮日に荷物の運搬時に遭遇。 これから同室よろしく! とこれだけ。 その後俺が振る舞った晩飯をいたく気に入ってくれたってのもあるけど、普通に話してみたら馬があった。 中等部から持ち上がりらしいコイツは、両親ともに国内外ともに活躍する超大物役者の息子で(確かに有名な俳優に青生っていたなぁ、とそれを聞いて思い出した)、自分も役者を目指していると。 で今も中高一貫の演劇部に所属していると。何でも下手な事務所に着くより良い稽古を付けてくれるそうだ。 金持ち高校はやることの規模が違う……。 コイツの将来の夢を聞いた流れで、俺の夢も教えて、なら俺の料理の味見をしてくれる代わりに、こいつの演技の感想を聞かせてくれ、ってことになったんだ。
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