【6月19日】 午前8時00分

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「あっ、おはよう、すず。めずらしいじゃない、声をかけてくれるなんて。でも、うれしい。なんか久しぶりだね。一緒に学校へ行くのって。あ、そうだ。ねえねえ、あれどうなったの?」  寺音は和磨の存在も忘れ、すず子との会話に夢中になっている。  ふたりは小学校からとても仲が良かったのだ。  ところが、高二の時に蘭が現れて以来。例のごとく押しの強い蘭が、寺音に付きまとうようになってしまい。気の優しいすず子は遠慮して、自分から距離を置くようになってしまったのである。  今朝はたまたま蘭の姿がなかった為、声をかけることができたのだった。 「じゃあね、和磨。ごゆっくり」 「え? お、おう」  寺音とすず子は、自転車の速度を上げ走り去ってしまった。  ――ゾクリ。  ふと、遥か先に見える学校を眺めると、和磨の背筋に悪寒が走った。 「なんだ? この感じ……」  しかし、苦手な英語のテストへの不安だろうと気を取り直し、歩を早めるのであった。
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