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頬杖をつき、ぼんやりと窓の外を眺めていた月読和磨(つきよみ かずま)は、四時間目終了のチャイムで我に返った。
「和磨、早く帰ろうぜ。今日は駅前のカラオケに行く約束だぞ」
まだチャイムも鳴りやまないうちに、飯田基成(いいだ もとなり)が現れた。
制服を着崩し、偏差値の高さを匂わせる、神経質そうな顔つきをしている。
帰り支度を始めた和磨は苦笑すると、目の前のせっかちな親友にぼやいた。
「あのなあ。明日から期末テストなんだぜ。頭のいいお前なんかに、付き合ってる暇はねえよ。それに約束なんていつした?」
「あ~あ、つまんねえやつ。俺らはあと数カ月もすれば卒業しちまうんだぜ。貴重な高校生活を楽しまなきゃ後悔すんぞ」
テスト勉強などしなくても、平均点以上は容易く取ってしまう基成は、不満げに口を尖らせた。
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