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「蘭、お前なっ。人を変出者みたいに言うんじゃねえよ。それに俺は、健康の為に歩いてるんだよ。おまえだって帰宅部で運動なんかしてないんだろ? ダイエットの為に歩いたらどうだ?」
「おあいにくさま、私にはそんなもの必要ないわ。当然、私と全く同じプロポーションのつっきーもね」
和磨と蘭の間に険悪な空気が漂い始めると、慌てて寺音が話題を切り替えた。
「も、基成くんは今日も電車じゃないの?」
「え? ああ、もちろん。田舎だから仕方ないんだけどさ。この時間帯は電車が一時間に一本しかないんだよね。電車を待ってるより、少しでも家に近づきたいのさ。まあ、家に着く時間はあまり変わらないんだけどね。ったく、お前ら地元の民がうらやましいぜ」
「雨でも、自転車で一時間かけて通学するってすごいな~。気をつけてね、基成くん。和磨もまたあしたね」
結局、和磨を置き去りにして、三人は自転車に乗り帰っていった。
「う~ん。徒歩三十分か……やっぱ自転車いるよな……」
一人校門を出た和磨は、うらめしそうにポツリと呟いた。
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