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「おいおい神原…本気で言ってるんじゃないだろ?」
さすがに見かねた信彦が言った。
「事実だろ。実際こいつが言ってたんだ。なあ?」
見下すように神原が俺の方を見た。一切、表情筋の動かない、能面みたいな顔。
ひどい。
「お前が誰と何をしてようが興味ないし、どうでもいいが、時と場所は弁えろって言っただろ」
ひどい。
「そんなに俺の手を煩わせたいのか。もっとマシな嫌がらせでも考えろよ」
ひどい、ひどいひどいひどい!
俺の頭にはもうそれしか浮かばない。
つーか、完全にこれは言いがかりだろ。
なんでここまで言われなきゃならないんだ。
俺が何をしたっていうんだ?
そりゃ、俺がお前の親を殺したならこの仕打ちにも我慢ができるよ。
事実はもちろん殺してないわけで、むしろお前んとこのおばさんおじさんはピンピンしてるわけで、毎朝俺に挨拶してくれるんだぞ?
なのにお前はなんなの?
俺をなんだと思ってるんだ。
虫ケラにでもこんなに酷くは当たらないだろ。
あーなんか腹立ってきた!!
「てめぇ黙って聞いてりゃ言いたい放題言いやがって…」
今まで何も言わなかった俺が口を開いたことに、一同が固まる。
「…なんだ、文句があるなら言い返してみろ」
「文句しかねぇわハゲ。聞きたいだけ聞かせてやるけどな、その前に…」
俺は拳を握りしめた。それを力一杯ヤツのほっぺたに叩き込んでやる。
バキィッ!!
油断していた野郎はフラフラと数歩後ろによろめいた。
そして「何が起こった…?」的な顔でこっちを見てきた。
ざまぁみろ。
「これは信彦の分!!」
拳を突き出して高らかに宣言。後ろで信彦が若干呆れているようだが、気にしない。
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