1.青春群青色

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「全く、懲りねぇなてめぇも」 「お前もしつこいねぇ」 一気にその場が険悪になる。俺と奴の間に挟まれて、赤くなったり青くなったりしている彼女に俺は助け船を出した。 「ごめんね、逃げていいよ」 ハッとした彼女は涙目になりながらも、小さな声で「ごめんなさい!」と言いながら、廊下へと飛び出していった。 あーあ、逃げられてしまった。いいとこだったのに。それもこれもコイツのせいだ。 「ったく、女の子泣かせるとかさすがだね。鬼の風紀委員長、神原祐史」 「泣かせたのはお前だろーが、朝倉千春」 「泣かせてねぇよ。鳴かせる予定だったけど」 「オヤジくせぇんだよハゲろ」 忌々しげに神原が言う。 「ハゲませーん。オヤジくさいと思うヤツがオヤジくさいんだよお前がハゲろ」 「あ?」 ガキみたいな言い合いだと自分でもわかってる。 こんなの全く俺のガラじゃないんだ。俺はもっとこう、いつも品があって紳士でフェロモン漂う余裕ある男なんだ。 「だいたいお前のその頭髪、余裕でアウトなんだよ。金髪とかなめてんのか。ちょうどいいからここで潔くハゲろ」 金髪ではない。ブロンドだ。これだからおしゃれのわからない奴は。 「はあ?ハゲに潔いも何もないだろ。あるのはバーコードか否かだけだ」 「それを往生際が悪いっつーんだよ。そんなサイドの髪でてっぺん隠そうたってうまくいかねぇわ」 「んだと?失礼しちゃうなホント。全国のバーコードハゲに謝れ。足掻いて何が悪い、カモフラ上等だコラ」 「カモフラできてねぇんだよ。つかお前が言い出したんだろーが!」 「…待って。じゃあ波平は?あれ波平は潔いの?だいぶ豪快にいっちゃってる点は評価高いけど、あのてっぺんの一本がカモフラっちゃカモフラに…」 「なってねぇよ!?評価ってなんの評価だ! …もういい。お前風紀委員室まで来い」 「はぁ?ヤダよ…ちょ、離せよハゲ!」 「ハゲてねぇ、…いいから来い!」 …お察しの通り、俺とコイツはいわゆる犬猿の仲ってやつです。 わたくし、朝倉千春はー神原祐史をー憎んでいます!世界中の誰よりも! え?南ちゃん何、もっかい言ってって?…10年後でも何年後でも言ってやんよ!
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