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「朝倉?」
手の止まった俺を妙に思ったらしい。神原が怪訝そうに見てくる。名前を呼ばれたのも久々にかも。けど、今はなんだかそれすら辛かった。
だって、だってさ。
薄々そうかな、とは思ってたけどさ。
ここまではっきり嫌われてるとは、思ってなかったんだ。
あんなに昔は一緒に遊んだのにさ。
「おい…何してんだ、早く…」
「あのさ、」
俺、なんかした?
そう、ずっと自分に問い続けて…
「……」
でも、それをコイツにぶつけることはできなかった。
そんな勇気はなかったし、意地もあった。それでいつしかタイミングを逃してしまって。いっそのこと殴り合いでもしたらよかったのかもしれないけど。
もう遅い。
「……手を出さないってことは女の子から手を出された場合はいいわけだよね」
結局いつもはぐらかしてばかり。そうやって本心に蓋をしてきた。今更開けようとしたって、もう錆びついてしまってそう簡単には開かない。
「それに女子生徒、ってことは男子は最悪アリってことで…ぶふっ!!」
頭を思いっきりはたかれた。いてぇ。
涙目で見上げれば、神原の片手には分厚い辞書が。…おいおい、あれで俺様の華麗で可憐な頭を殴ったんじゃないだろうな…おそろしい子!
「くだらねぇこと言ってねぇでさっさと書け馬鹿。俺だって暇じゃねぇんだ」
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