繊月

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誰にも理解して貰えないが 柚月には柚月なりの理想があった 大好きな旦那様の為に 美味しい ご飯を作ったり、小さな子供に 手がかかり自分の事は二の次に なってスッピンにジャージで 奔走しまくってみたり はねた髪の毛も気にならない くらい家族を優先している ごくごく平凡な主婦をしてみたかった 翔太の母は とても、上品な人で 柚月はおろか、翔太ですら義母の スッピンを見た事がない 誰よりも早く起きて 誰よりも 遅くに寝ている翔太の義母 それなのに家族の誰もが義母の スッピンやジャージ姿を見た事が ないらしいのだ 付き合っていた当初 聞いた時は 何の冗談かと疑っていた でも結婚して15年 お隣に住む義父母宅 どんなに朝早くとも必ず義母は 小綺麗にしており、その徹底した 佇まいには驚きを通り越して 若干 恐さを感じるが さすがに そんな事も言えず 翔太が いつまでも、変わらないと 言う言葉の裏には 母の様にと言う 意味があるのかなぁと ぼんやりと 感じている柚月だった
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