思い出に生きる人

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地面がゆれ砂埃が立ち上る。 人々のざわめきが聞こえる中、セオドアは立ち上がった。 低いが力強い馬、馬には鞍など余計なものはなくその鎧には装飾などない 人々を統制する華やかな音楽隊もなければ士気を高める旗もない。 「あれは…デンスの民!」 ざわめく敵陣は戦意を失った人々が散り散りになろうとする。 拡張期で兵をなだめる指揮官の声なんて聞こえようもないとでもいうように。 だがなんでデンスの民は戻ってきたのか その疑問もすぐにとけた。 大きな岩のような男が率いるはずの部隊の先陣をきって一頭の白馬がゆく。 「はなて、すすめ!歩みを止めるな!」 凛と響く若い女の声に矢は一斉に空へ向かって飛んだ。金の髪は風を受けて広がる。 「ダニエル様…?」 クリストファーとセオドアが唖然と見ている前であっという間に決着はつき敵はさっていった。
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