手をひいてくれるのは

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綾子はこうして2泊4日の旅行中のほとんどの時間を ハノイのこの長身のベトナム青年と過ごした 綾子の便は、23:40 ハノイ発 綾子は21:00にハノイ・ノイバイ空港に青年に送ってもらった 最初、この空港に降り立った時の不安な気持ちが嘘のよう 今では、この街が好きになった 綾子は、スーツケースを預け、カウンターで手続きを済ませたあと、 ベンチに座り、 必至に青年に 連絡先を交換しよう、と願い出た 青年も、もちろん というと なんのためらいもなく、 メールアドレスと、携帯番号を紙に書いた 綾子も同様に… 少し手を握ったことはあった二人だったが ノイバイ空港 国際便 発着ロビーで二人は人目をはばからず 抱きしめあった 時間を気にする二人・・・ ベトナム人家族のグループや、出張を終えた様子の日本人サラリーマン、個人旅行の日本人や韓国人・・・ 欧米人夫婦の旅行者 それぞれの事情のある利用者がごったがえすハノイ・ノイバイ空港 出発ロビー 22:00になると、青年は、 もう出国手続きに入ったほうがいい、と綾子を促す 綾子は涙ながらに わかった と答えると手荷物を持って すでに多くの人が並んだ列の一番後ろにパスポートと搭乗券を握り締め並ぶ 綾子にはまだまだ話したいことがあった 一緒に行きたい場所もあった まだまだ2人の時間は足りない 青年は、出国手続きの列に並ぶ綾子をずっと見つめていた 綾子が消えていくのをずっと見つめていた 綾子も必至に手を振った だんだん小さくなる青年の姿を見つめながら懸命に手を振った とうとう2人はお互いが見えなくなってしまった…
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