36人が本棚に入れています
本棚に追加
綾子は心臓がドキドキしてきた
大通りを渡るのが、
これほど怖くて勇気のいることなんて
今まで知らなかった…
ハノイの街中の観光をあきらめて
ホテルへ戻ろうかしたそのとき
長身の青年が綾子の右側に立ち綾子の手をとった
綾子が慌ててその右側の青年を見上げると、
青年は右から流れてくるバイクを見つめ、
一歩踏み出した
綾子が右側を向き、青年も右側を向く
2人の視線はあわない
綾子も手を引かれるまま、
青年のあとを歩く
青年が歩けば
バイクはよけていく
バイクは止まることなく
器用に歩行者を避けて走り続ける
歩行者もゆっくりゆっくり歩をすすめ、
バイク運転者の視界に入っていく
最初のコメントを投稿しよう!