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4車線分はある大きな通りを青年に手をひかれることで渡り終えた
綾子は渡り終えた車道を振り返る
相も変わらず、多くのバイクが流れていく
バイクも止まることもなく、歩行者も待つこともなく
これはこれで渋滞を引き起こさないいい手段なのかも、
と渡り終えた今ならそう思えた
だが、まだひとりで渡るのは無理そうだ
ずっとバイクが流れてくる方角をみていた青年がようやく綾子を振り返る
”Are you OK?"
大丈夫?と聞かれ、
綾子はたどたどしい英語で ”OK"と答えた
綾子は慌ててバッグの中のガイドブックを出すと
付箋をつけていたお目当てのカフェのページを開き
青年に見せる
”ここにいきたい”と指差すと
”OK"
と言って青年は歩き始めた
身長185センチくらい、小柄な人が多いベトナムの中ではかなりの長身
肌の色は日本人よりほんの少し黒い
真っ青なジーパンに赤いスニーカー
黒のポロシャツ カバンは持ってない
後ろポケットに小さな財布
前のポケットに小さな携帯が入っていた
小顔な上にちょっと垂れた瞳は青年を
綾子が推測する実年齢より、より幼く見せた
薄い唇もなんだか綾子には好感が持てた
そして、ほんの少し彫りが深く
エキゾチックな印象
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