本編 【押入れ】

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「……」 風呂場のドアを開け、そのまま中へ入った彼女がボソッと何か呟いた。 「え?」 風呂場のせいか声が響いて よく聞き取れなかった。 俺が聞き返しても、今度は何も答えない。 一体どうしちまったんだ…? 今夜入るかも知れない風呂場が そんなに珍しいのかな 彼女は清楚な女だから 男と風呂に入るなんて初めてかもな 「そんなに見なくても 一目で見渡せる狭い風呂だよ」 明るく調子の良い声で言いながら そっと彼女を窺うと、嬉しさや恥ずかしさなんて微塵も感じられない、恐怖に引きつった顔をしてた。 「……どうかした?」 「……」無言のまま風呂場に立ち尽くす彼女。 なんだろう……この空気は。 すごく嫌なモノを感じる それは言い表せないナニカ。 「どうかした? ここ寒いから部屋に戻ろうぜ?」 彼女の腕を掴もうとしたら いきなりバシッと撥ね付けられ 俺は唖然とした。
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