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あれから三年か。千広はコーヒーをベンチの端に置いた。
「あれから三年たったんだね」
麻木詩織は、白い頬に垂れる髪を耳にかける。
「俺は今でもわからない。情けないけど、これから何をしたらいいのか。詩織は見つけたのにさ」
詩織がどこかに行ってしまうのではないか。口に出してみて改めて二人の差を感じてしまう。
「ね、本当はあの時、一人で座ってる千広を見つけて、友達に頼んだの。どこかで私達を見つけたら、隠れて、って」
「道理で、いつまでたっても合流できないわけだ。じゃ、俺も一言。実はおみやげリストの最後の一品、あれ、すでに見つかってたんだ」
詩織は照れたように少し俯き、そしてあの日と変わらない笑顔がこぼれた。
「今度は千広のやりたいことを探すんだよね、一緒に。おみやげじゃなくて」
俺の答えを聞く前に、詩織はマフラーを巻きなおして歩き出した。
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