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「教頭がペレの事を嫌いな原因は簡単だ。
彼が日本人に見えないベネズエラのハーフだからだ。おそらく日本人離れした身長も、肌の色も、顔の濃さも全部気に食わないのだろう。
「わかっていますよ。大丈夫です。」
ペレは引きつった笑みを浮かべてそう返事をし、心の中で毒づきながらも教頭に一礼して、大混乱中の子供達を避けながら、体育館の今いるのと反対側にある出口までいそいそと向かった。
でも一体警察が俺に何の用があるんだ?
ただの事情聴取だろうけど…
そんな事を考えながら、ペレは外に出た。
ドアを開けると一月の冷たい風が火照った頬を吹き付ける。
体育館の中は熱を帯びていたため、ペレにはその風が心地よかった。
「井上ペレ先生ですね?」
声の主を探し、ペレは顔を上げた。
そこには2人の男が立っていた。
1人は高身長で細く、だが筋肉質、もう1人は対照的に低身長で太り気味だった。
高身長な方は、鋭い目つきでペレをじっと観察していて、どことなく鷹を思わせた。
もう1人は優しそうでいかにも善人そうな顔つきをしている。
だが2人とも賢そうで隙が全く見当たらない。
ペレはなんとなく身構えた。
「警視庁警部の本山です。」
「同じく刑事の福本です。」
2人は警察手帳を見せながらそう言った。
どうやら、背の高い方が本山で、太っている方が福本らしい。
「教師の井上です。よろしくお願いします。それで、あの、聞きたいことがあろと伺ってるんですが」
ペレは遠慮がちに聞いた。
「ええ。そうなんです!一応確認なんですけどね、」
福本は一旦そこで言葉を切り、本山と確認する様に視線を合わせた。
「井上先生はここの小学校の卒業生なんですよね、」
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