第1章 歯車と始動

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「教頭がペレの事を嫌いな原因は簡単だ。 彼が日本人に見えないベネズエラのハーフだからだ。おそらく日本人離れした身長も、肌の色も、顔の濃さも全部気に食わないのだろう。 「わかっていますよ。大丈夫です。」 ペレは引きつった笑みを浮かべてそう返事をし、心の中で毒づきながらも教頭に一礼して、大混乱中の子供達を避けながら、体育館の今いるのと反対側にある出口までいそいそと向かった。 でも一体警察が俺に何の用があるんだ? ただの事情聴取だろうけど… そんな事を考えながら、ペレは外に出た。 ドアを開けると一月の冷たい風が火照った頬を吹き付ける。 体育館の中は熱を帯びていたため、ペレにはその風が心地よかった。 「井上ペレ先生ですね?」 声の主を探し、ペレは顔を上げた。 そこには2人の男が立っていた。 1人は高身長で細く、だが筋肉質、もう1人は対照的に低身長で太り気味だった。 高身長な方は、鋭い目つきでペレをじっと観察していて、どことなく鷹を思わせた。 もう1人は優しそうでいかにも善人そうな顔つきをしている。 だが2人とも賢そうで隙が全く見当たらない。 ペレはなんとなく身構えた。 「警視庁警部の本山です。」 「同じく刑事の福本です。」 2人は警察手帳を見せながらそう言った。 どうやら、背の高い方が本山で、太っている方が福本らしい。 「教師の井上です。よろしくお願いします。それで、あの、聞きたいことがあろと伺ってるんですが」 ペレは遠慮がちに聞いた。 「ええ。そうなんです!一応確認なんですけどね、」 福本は一旦そこで言葉を切り、本山と確認する様に視線を合わせた。 「井上先生はここの小学校の卒業生なんですよね、」
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