第1章 歯車と始動

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「お母さん、私ね、もう嫌なの!この生活、もう嫌!」 「よくお聞き、結美子。誰のおかげでこんな何一つ不自由のない生活してると思ってるの?」 「お父さんだよ、お母さんじゃなくて」 結美子は吐き捨てるように言った。 なにが、よくお聞き、よ。 自分は田舎の次女のくせに様にならない言葉遣いして! だが、今の言葉が母、照子の心に火をつけたようだ。 顔は真っ赤に染め上がり、唇はわなわなと震えている。 「なに。」 結美子は母を睨みつけながら言った。 照子はここで完全にスイッチが入った。 結美子の座っているソファーから赤いビロードのクッションを?ぎ取ると、まるで狂った様に結美子をそれで叩いた。 クッションなのでそんなに痛くはなかったが、やられっぱなしというのは気が引ける。 照子など所詮力の弱いしょぼいババアである。 結美子は母親からクッションを奪い取ると、それを怒り狂って白目を剥きそうな母に投げつけた。 クッションは見事に照子の顔に直撃し、そのまま床に落ちた。 だが、そこで照子も我に帰り、少し落ち着いた。 そして鼻息をフガフガさせながら、 「と、とにかくねえ!今日のパ、パーリィーには、出てもらいますからねっ!それにもし何か粗相があったら、あなたが相手にするのはお父様よっ!わかったら、支度をなさいっ!」 と叫び、グチャグチャになった髪を必死で直しながら部屋を出ていった。
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