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俺は日本人だ。キスはそこまで好きではない。でも、誰にでもできないといった、そういう人間でもない。
どうでもいいやつには、出来る行為なのかもしれない。
「ごめんごめん。キスしてあげるから許して。」
「最低3分はしてね。」
まじめんどくせえなこいつ。女は嫌いじゃない。でもこいつは例外だ。俺の恭介に手を出そうとした女。
絶対に許さない。食い止めれて良かったわ。簡単な女で良かったわ。
「何分でもしてあげる。」
何分唇を重ねたって、積み上がらず崩れさっていく感情というものがある。それがこの時間だ。
この女との、この女の彼氏としての時間だ。隣の部屋に恭介がいないこの情事の時間は、俺にとっては軽快に走っている途中にいとも簡単に解けた靴紐を結ぶくらいめんどくさい時間である。
恭介、お前今日バイト何時に帰ってくるんだよ。言えよ、何かしら態度で示せよ。お前が聞いてないと俺もう反応しない体になってんだよ。わかるだろ?早く帰って来いよ。
ガタッ
恭介…てめえ…
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