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そうかそうか、そういうテンションなのか、恭介よ。知らない間にいたんだぜパターンなのか、恭介よ。
そういうつもりなら俺にも考えがある。この前はびびって途中で出て行ったもんな。音丸聞こえなんだよ、地獄耳舐めんなよ。
俺は隣の部屋に潜んでいた恭介にする仕打ちを暫く考えるつもりだったが、彼女がその思考回路の邪魔をするように唇に迫ってきた。
「止めろ!」
俺は思わず口を滑らせた。この時間この女に本当に思っていることを口にしたのは、初めてかもしれない。
「え。どうしたの?そんなに大きな声…」
「あ、ごめんごめん。ちょっと余計な事考えてて、続きしよっか。」
俺は彼女の首にいやらしく触り、彼女を自分に引き寄せようとした。
「いい。なんかやっぱり今日の響一変かも。心ここにあらずみたい。」
なんでお前みたいな鈍感無神経女に俺の気持ち悟られなきゃいけないんだよ。
「そんなことないよ。いつもこんな感じでしょ。」
「いつもはあんなに優しくしないじゃない。特に最近は。さっきのだってそう、“階段気を付けてね”なんて普通言わないじゃない。」
「そんなことないよ。ほんとに階段危ないなって思ったんだよ。」
いっそのこと階段から転げ落ちたら帰ってくれるかもとは思ったぜ、正直。でも、そこまでの事を現実に望む程、俺は悪魔じゃないよ。
「私ね、響一が浮気してるんじゃないかって思ってるの。下着だってそう。私、大きな花の付いた下着なんて持ってないんだから。」
こいつ、舐めてたけど意外と鋭いのか。やっぱ女全般は嫌いだわ、さっきの発言訂正するわ。
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