第1話「竜国の歌姫」

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 彼らは酒杯を傾けながらこう話すだろう。 「そのオカマはスカートとジーパンを足して二で割ったようなゆったりとしたズボンを穿いててよぉ。昔流行ったパンタロンとかラッパズボンとかに似てるけど、ありゃぜんぜん違うもんだったなあ。  ズボンにだってその年その年の流行があるだろ?  例えば裾の広がっているパンタロンが流行っているときもあれば、スリムな形が人気のある時ともあるけど、あのオカマのズボンの膨らみは流行り廃りを超えてどっか変だったな。  上着もこれまたおかしくてよ。厚手の布を胸元で重ねているだけ。襟とボタンもねえんだ。シーツに穴を空けて腕通したんじゃないかって思ったね。いちおうベルトみたいなのはあったけどそのベルトも金具がねえの。  ただの紐さ。もしかして彼は留め具や金具などの金物にアレルギーでもあるじゃないかって思いきや、そのベルトには子供ぐらいの、なんか重そうな長物が差し込まれてたんだ。ありゃ一体何だったのかねぇ」
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