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俺が取材をしたのは、2年程前。
ニュースによると亡くなったのはそのすぐ後くらいか…
身近な知り合いが死んだような、そんな感覚。
人生は不平等だ。
何も殺されなくてもな…
「…ごちそうさま。」
「何だ!残してるじゃない!珍しいわね~。」
おばちゃんは俺が残した朝定食を見て大袈裟に驚く。
「うん…ちょっとね。おばちゃん、さっきのニュースの現場って近くだよね?」
「駅前だから、そうだけど。まさか見に行く気?」
「ジャーナリズムが疼くんだよ。」
「まぁまぁ。程々にね~。」
定食屋のおばちゃんと別れ、死体が見つかった駅前の公園へ向かった。
俺にジャーナリズムなんて無いよ。
知ってしまった以上、花くらい供えないとな。
今更になって記事に出来なかったことを悔やむ。
奥さんと子どもの事をすごく心配していたな…
それを伝えてやりたかった。
俺は適当な花を買い、しばらく行くと公園に着いた。
まだ発見されたばかりと言う事もあり、規制線が張られ騒然としている。
俺は辺りを見回した。
…やはり、ホームレスともなるとお供え物は無いんだな。
俺は規制線ギリギリまで進み、傍に花を供えた。
確かに見覚えのある景色に、一層心が傷む。
「すまなかった。」
静かに手を合わせ呟く。
これくらいしか俺には出来ない。
その場を離れ家路に着いた。
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