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俺は家に着いてから思い立って探し物をしていた。
「確か…この辺りに…」
クローゼットの奥深く、舞う埃を払いながら探す。
「あった!これこれ。」
俺は2年前の取材データを取り出した。
なんだか妙に引っかかって、まだデータが残っていることを思い出したからだ。
「やっぱり…中田健二さん、年も計算が合うな。」
ノートの走り書きは、俺の記憶が正しい事を証明した。
ネットを開くと、早速ニュースが上がっていた。
世の中、便利になりすぎてるからアナログな物が売れないんだよ。
「一部白骨化した遺体…家の中にいたから今まで発見されなかったのか…」
駅前の公園は中田さん以外のホームレスは住んでいなかった。
悪臭がすれども、わざわざダンボール小屋を覗く奴はいないだろう。
「…発見者、不明?」
どうやら、発見した人間は通報後に消えたらしい。
目立ちたくなかったのか、はたまた犯人なのか?
犯人なら2年も経った今、通報するのはおかしいか。
当然ながら、中田さんの家族の情報は載っていなかった。
取材データを見返す。
「中田さんが家族と離れた時、息子は15歳…中田智成くん、か。」
15歳の思春期なら、父親の存在は大きかったかも知れないな。
このニュースを見て自分の父親が亡くなった事を知るのか…
どんな心境なんだろうなぁ。
会ってみたい気持ちにもなったが、俺ごときが何を言ってあげられるだろう。
俺はノートを閉じ元の位置へ戻す。
まずは目の前の事からだ。
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