3人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわぁ~!綺麗!」
思いの外、結衣は子どものように水族館を楽しんでいた。
他所からは、自殺サイトの管理人をやっているなんて微塵も感じられないだろう。
俺はと言うと、できるだけ自然に水槽との距離を保ってやり過ごしていた。
「…ねぇ、もう水族館平気なの?」
「え!?」
まさか、結衣は人の心を読めるのか?
「いや、バレバレだよ。水族館、苦手なんでしょ?魚が嫌いなの?」
俺の演技力のせいか。
「ハハ…ちょっと、トラウマがあって。こんなに簡単にバレちゃ、集会も心配だな。」
本当に自殺したい人間なんて演じられるんだろうか。
「そうよ。そんなんじゃ、きっとすぐにバレる。」
結衣は憎たらしい笑顔で俺の胸を小突いた。
結衣の指が俺に触れた瞬間、
あれ?
何だろう、この感じ。
結衣に初めて会った時にも感じた…どこか懐かしい様な感覚。
昔好きだった子が結衣に似ているから?
本当にそれだけなのか…?
「どうしたの?」
上の空で立っている俺を結衣が心配そうに覗き込む。
「ぅわ!な、何でもないよ。ちょっと休もうか。」
「…うん。」
俺たちは水族館の中にあったカフェに入る。
「ねぇ、バッグ重そうだけど何が入ってるの?」
「え?あぁ、パソコン。結衣に見て欲しいものがあるんだ。」
「見て欲しいもの?何?」
俺は今朝気になっていたブログを結衣に見せたかった。
登録していたブックマークを開く。
「あれ?おかしいな…」
今朝見たばかりのブログは開かずに、errorの文字が表示されるだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!