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「まぁ、今回は御免なさい。」
「…わかりました。すんません。」
断られるのはこれで3回目。
俺は”しがない”フリーライターだ。
ここんとこ、全くネタにありつけなくて収入ゼロ。
「そう気を落とさずに。次、期待してるから。」
「うぃっす。そのうちに。」
まぁ、ネタって言っても俺が持ち込む編集社は三流のマニア雑誌ばっかだが。
媚びなくて良い。それが俺に合ってる。
今回も載ればラッキーくらいにしか思ってなかった。
「モンスターペアレントネタ…もっと暴れてくれりゃなぁ…」
今日の”営業”を思い出しながらコンビニの灰皿横で愚痴をこぼす。
世の中、知りたい見たいが溢れてる。
怖いもの見たさ、とは良く言ったものだ。
他人の不幸が面白かったり、下の奴らを見て自分の幸せを確認したり、そんな人間ばっかりだ。
「…俺もだけどな。」
吸っていたタバコを捨て、車に乗り込む。
時計は夜の10時を指していた。
今日はもうビール飲んで寝よう。
ツイて無い時は足掻いたって無駄。
やる気が無い訳じゃない。
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