再会

6/7
前へ
/77ページ
次へ
「あ、あの…さっきはゴメン。何であんな大声になったのか…」 「…いいの。私こそごめんなさい。」 言葉ではそう言うものの、明らかに先程までと態度が違う。 「集会は1週間後。注意事項なんかはまた連絡するわ。」 無表情で早口だ。 少し先を歩き、俺の方を見ようともしない。 そんなに怒らせたのか? 「…わかった。」 「帰りは送ってくれなくて大丈夫。今日はありがとう。」 「そうか。気を付けて。その…水族館以外でまた会おう。」 「……また。」 そう言うと、結衣はさっさと行ってしまった。 帰って反省会でもしよう。 昔好きだった子のことを否定された瞬間、自分でも無意識のうちに反論していた。 なぜだか分からないが、無性に腹が立ったんだ。 確かに好きだった。 でも、名前を思い出せない。 よく考えれば、いつ出会ったんだ? それにどうやって知り合った…? あんなにハッキリとしていたはずなのに、ぼんやりとしか思い出せない。 結衣と似ている…ような気がする。 俺は一人車に乗り込み、我慢していたタバコを吸った。 「こりゃ、嫌われたかなぁ…。」
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加