3人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あの…さっきはゴメン。何であんな大声になったのか…」
「…いいの。私こそごめんなさい。」
言葉ではそう言うものの、明らかに先程までと態度が違う。
「集会は1週間後。注意事項なんかはまた連絡するわ。」
無表情で早口だ。
少し先を歩き、俺の方を見ようともしない。
そんなに怒らせたのか?
「…わかった。」
「帰りは送ってくれなくて大丈夫。今日はありがとう。」
「そうか。気を付けて。その…水族館以外でまた会おう。」
「……また。」
そう言うと、結衣はさっさと行ってしまった。
帰って反省会でもしよう。
昔好きだった子のことを否定された瞬間、自分でも無意識のうちに反論していた。
なぜだか分からないが、無性に腹が立ったんだ。
確かに好きだった。
でも、名前を思い出せない。
よく考えれば、いつ出会ったんだ?
それにどうやって知り合った…?
あんなにハッキリとしていたはずなのに、ぼんやりとしか思い出せない。
結衣と似ている…ような気がする。
俺は一人車に乗り込み、我慢していたタバコを吸った。
「こりゃ、嫌われたかなぁ…。」
最初のコメントを投稿しよう!