はじまり

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よくよく考えれば、こんな時間に空いてる店はファミレスか居酒屋くらい。 お茶しようと言った手前、ファミレスを選ぶ。 平日の夜中だと言うのに、店内にはチラホラと客が見える。 どうせお気楽な学生か、フリーターだろう。 あ、俺もか。 「一応、確認だけど…未成年じゃないよね?」 こんなとこで犯罪者扱いは御免だ。 「ふふ。そんなに若く見える?私、25歳。」 「え、そうなの?25歳には見えないね。」 25歳か…俄然可能性が出てきたぞ。 「悠太さん、私一度あなたと話してみたかったの。」 「え!?何でまた…」 もしかして、一目惚れとかされてた? 妄想が弾み思わず顔がニヤける。 「悠太さん、記者なんでしょ?」 「へ?」 期待外れの言葉に肩を落とす。 一目惚れじゃないのかよ。 「そうだけど、どうしてそれを?」 「実は、記者の人探してたの。編集社から出てくるとこ、こっそり見ちゃった。申し遅れました、私こう言う者です。」 結衣は改まって名刺を差し出した。 社会人として俺も名刺を渡したかったが、あいにくコンビニへ行くための軽装備。 持ち合わせていない。 「どうも…ごめん、俺持ってきてなくて…」 断りを入れながら手渡された名刺へ視線を落とす。 「自殺サイト…黒炎会、管理人…?」 自殺サイト?なんだそれ。 結衣へと視線を戻すと、月明かりを浴びた妖艶な笑顔があった。
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