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まずいな。
可愛い顔して、サイコパスか何かか?
予想外の展開につい身構えてしまう。
「コーヒー、頂きます。」
いつの間にか運ばれていたコーヒーを飲みながら結衣は続ける。
「自殺サイト、経営してるの。毎日たくさんの書き込みがある。自殺したいって声が溢れてるの。」
「は、はぁ。」
間抜けな相槌が溢れる。
カオスだ。やっぱり今日はツイてなかったんだ。
「でもね、本当に自殺したい人はそんな書き込みなんかしない。わかる?止めて欲しいのよ。死ぬ勇気も無いくせに、群れて文句を言ってるだけ。」
「で、その…俺に話ってのは?」
早いとこ切り上げよう。
ビールは止めてすぐ寝よう。
「あ、そうそう。お願いがあるの。今度、自殺サイトの集会があって樹海へ行く事になってるの。わかる?自殺サイトの集会って言うのはつまり、集団自殺。
私が管理人をやっている目的は、自殺志願者の減少。そうして集まる人達を説得して、自殺を止めさせる事。今度の集会もそれが目的よ。」
「ちょ、ちょっと待て!それと俺とどう関係が?」
そんなのに巻き込まれるのは御免だ。
「わからない?私一人が頑張っても、限界があるの。今まで何度か集会をしては説得をしてきた。だけど一向に志願者は減らない。だから、雑誌に取り上げて欲しいのよ。集会を取材して、記事にしてくれない?」
「そんな馬鹿な事…!」
…いや、待てよ。
これはもしかしたら、良いネタになるかも。
”急増する自殺志願者を救う!
噂の自殺サイト管理人は美少女だった!”
即座に見出しが浮かんでくる。
「良いネタに、なるかしら?」
俺の表情を汲み取って結衣は返事を期待する。
俺を見つめる瞳。
俺はその瞳に吸い込まれるように返事した。
「是非、取材させてくれ。」
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