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卒業したんだ。
辺りをエロくないピンク色で淡く染まる道を歩きながら、私はそれを実感していた。
だってこれまでの学生の頃にはあった何かが確実に抜け落ちてしまったのだ。
もうそれが何かも思い出せない。
きっと絶対にないと思い込んでいた我が師の恩とか、いざさらばってのが声に出して歌ったせいで本当に思えてしまったのが原因だ。
「終わったからもういいや」
ちょっと優しいそんな気持ちがじんわりと溢れてしまう。
「お前は変わってたけどいい奴だったよな。」って言ってくれた
つい最近まで嫌いだった担任の先生に笑顔で返事までしてしまった。
「えへへへ」
他の人から見たら気持ち悪いであろう笑い声をする。
私はそのまま一人で卒業式の帰り道を歩くのだった。
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