大好きだったバンドが解散したせいで

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「うわあああ! もう人生が詰んだあああ! 自殺と殺人衝動の押さえ方は名曲で教えてもらったけど他の悪いことはどうしろってんだよおおおお!」 「あはははは! あー、あの遠廟さんがお昼に放送委員に流させて先生に怒られた歌のバンドなのね。 『屋根から落ちてドロロの、のーずいー』だっけ? 解散したんだ…あはははは!」 「そんな笑わないでよ、 覚子(さとりこ)ちゃん。 うちには死活問題なのに」 その日の夕方、辺りが真っ赤に染まるのを交差点からみながら、 私は一大事を唯一の親友、明治 覚子ちゃんに相談してついでに感情の撒き散らしをしていた。 覚子ちゃんは、高校三年生になって初めて私に出来た友達で、 誰にも負けないくらい頑張り屋で、気さくで優しい吹奏楽部のエースなのだ。 私と友達になるなんて最初はあっちにとって良い迷惑であっただろう。 「そうよね。 遠廟さん、毎日机に顔伏せて大きなヘッドフォンつけて聞いてたもんねー。 『全員敵だ死ねー』とか、 『ましな人間探すより神や仏にすがりたいー』とか、 『偽善者めー』とか。 死活問題よね、代弁してくれる人がいないって。 でもあの時の遠廟さん 頑張って生きようって感じが可愛かったなあ、あはっ!」 真っ赤な制服を翻して、覚子ちゃんがコロコロ笑う。 私にとって雲の上の存在だった覚子ちゃんは今はこうして優しく茶化して慰めてくれる。だから私はそれに甘えて、ついこうして3ヶ月振りに会いに行ってしまった。
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