第2章 秘密

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「昔々、おじいさんとおばあさんが居りました。おじいさんは…」 「桐子ちゃん!イイ声してるわね!」 私が叔母の孫に絵本を読んでいると、叔母がいきなりそう言った。 「叔母さん!いきなり何!?」 「いやぁ、桐子ちゃんの声、高過ぎず低過ぎず、落ち着いていてよく通る良い声だから、叔母さんびっくりしちゃって」 元々大きな目を更に大きく見開いて、叔母は興奮しながら続けた。 「私ねこういう仕事をしているんだけど、桐子ちゃん良かったらやってみない?勉強に支障を来さない程度で良いから」 叔母はそう言うと三つ折りの薄いパンフレットを私に差し出した。 パンフレットを見ると視覚障害で本が読めない人の為に、本を朗読した音声ファイルを安価で提供するという説明が載っていた。
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