ハプニングは突然に

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「――――はい、承知しました  専務室までお連れします」 内線を切り、おもむろに予定表に目を落とす。 14時の欄には赤い丸印 その下には太字で『丁重に』と書かれていた。 「い、いよいよですね、  富士製薬のアポイント…」 隣で少し上擦った声をあげる長濱さんとは対照的に、 私はかなり上機嫌だった。 (――――そう、いよいよなのよ ) 現在時刻は13時46分 富士川さんの来社予定まで、あと少し 『近いうちに御社に伺う』と話していた通り、 あれから2週間後にアポイントが入った。 バーで別れた際にあれくらいで引いたのは、 また会えると判っていたから そして来社の際に お連れするように言われるのも、計算の上 ( エレベーターの中で名刺でも貰えばいいわ ) その時、私はそう軽く考えていた。
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