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彼の手が、指が、私に触れる
それだけで
いつもならこんなに心臓が鳴らないのに
高鳴る鼓動が治まることを知らない
男と寝る時は相手の悦ぶ反応を造ること、
ずっと当然のようにしてきた
それが惹きつける『手段』であり『対価』
そう振る舞っていたのも紛れもなく私
だけど彼は
そんな私と別の”私”を知っている
―――息が上がる
遮るものは何もない
目を開ければそこに彼がいて、
私の肌に濡れた感触を落としていて
悦ばせようと振る舞わずただ身を任せると
体が自然と熱を持って、力が抜けた。
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