ハプニングは突然に #2

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”――――どうして?” 朦朧とする意識の中、何度かそう訊ねられた。 何を訊ねているのか判っているのに 私は判らないふりをする ”お金が目当てなの” とか ”いい思いさせてくれそうだから” とか そんな『答え』がぼんやりと浮かぶけれど、 その度に私は無意識に彼へと手を伸ばした。 それは本当に無意識で、 『 私の事が欲しいなら あげてもいい 』 ずっとそう思ってきた私は 男に手を伸ばすなんて事をしたことはなかった 何も言わず、ただゆっくりと彼へと手を伸ばす。 その度に大きな手が私の手を開いて 緩く指を絡めた。 込み上げる言い表せない感情に ぐっと唇を噛めば、そこにキスが落ちて、 その繰り返しを何度しただろう 揺らぐ瞳の中で彼を見るのに 私にはその奥にある色は判らない ―――どうして?  あなたこそどうして、私を抱いたの? ……渡瀬 朔…… 本当に掴めない、わからない人――――
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