ハプニングは突然に #2

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「…結婚、してあげてもいいわ  ずっと興味がなかったけど、あなたとなら 」 訊かれたのは好きかどうか だけど返事の代わりにそう口を開いた。 「―――どういう意味?」 彼の目がゆっくりと開き、 こめかみに当たっていた指が僅かに動く。 「 言葉の通りの意味よ…  あなたが私を、って言うんなら 」 そう言って口元を上げたままじっと目を見返した。 横たわったまま視線だけが重なる。 それは時間にすれば数秒 だけどとても深く、濃い時間に感じた。 と、目の前の眦がふっと細くなり、 彼は何も言わずに視線を下に落とすと 私の左手首を引き寄せて、ゆっくりと薬指をなぞった。
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