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「なんで…」
思わず漏れた声がシャワーの音に混じり、
その端正な顔が濡れていくのを呆然と眺めた。
ポタリ、ポタリと雫が落ちる。
前髪の間から私を横目に見た彼は、
「 風呂、長すぎ
その割にまだ入ってなさそうだけど 」
言いながら溢れそうになっているバスタブを振り返った。
「ちょっと、何で入って来て……」
この状況に一気に動揺して声が上擦る。
そんな私の顔を見ていた彼は
「あぁ、」と小さく呟くと
「どうせお互い脱ぐんだし…
いつ見せても同じだろ 」
(………そうだけど…っ
――――それは極論じゃない )
こんな唐突に肌を晒すのは不意打ち過ぎる
目を合わせていられなくて
絡んでいた視線をふいと逸らした。
と、視界の隅に映り込んだ長い指が
私の脇腹に触れ、なぞるように腰へ下りていく。
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