551人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
脱衣所にあったガウンを羽織って部屋に戻ると
長く重たい息が漏れる。
(……渡瀬、朔… )
本当にびっくりしたけど、
それが囚われそうになっていた思考を飛ばしたのも事実で
( 癪だけど、ある意味感謝、か… )
内心呟きつつ
さっきのミネラルウオーターを探すけれど見当たらなかった。
仕方なしにミニキッチンの冷蔵庫を開けると
スパークリングワインや白ワインが覗いていて
( ―――わ、至れり尽くせりね… )
チェックインをしない所を見ると、
彼は暫くここを借りているか何かなんだろう
冷えたワインがとても美味しそうで
( いいわよね、きっと… )
私は白ワインを一本取り出して栓を抜いた。
トクトクと、グラスに注ぐ音が私の心を弾ませて、
冷えたそれが喉を通るとほっと息が漏れる。
最初のコメントを投稿しよう!