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どれくらい経っただろうか
少し遠くでドアが開く音が聞こえた。
間を置いて
こちらに目を向けた彼が窓ガラスに映り込む。
だけど私と同じガウン姿に、
それを着るしかないのに
不思議な違和感を覚えて思わず苦笑した。
こちらへと近付く足音を聞きながら
目を落として手の中のグラスを傾ける。
「――――ごめんなさい、
美味しそうだったから…つい開けちゃって」
チラリと隣に並んだ彼を見上げると
伸びてきた手がグラスを抜き取った。
視界に映る彼の喉が、大きく動く
「…それ、とても美味しかった
私の好きな香りや味だった」
そう言いつつ
おもむろに窓の外に目を移した。
と、ガラスに映っていた彼がゆっくりと離れて
空になったグラスをローチェストに置く。
そのままベッドに腰を落とすと、
ガラス越しに私たちの視線が絡んだ。
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