ハプニングは突然に #2

8/19

551人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
(―――――――――――) はっきりと心臓が音をたて始める。 緊張でも、怖さでもない、 何か違う別の感覚が私を包み始めていた。 一歩一歩、そちらへと踏み出す度に 視界の中の彼が大きくなって、 膝が触れる程の距離に立った時、 手首を引かれてゆっくり体が落ちる。 ギシリとベッドが上下に揺れ、 反転する視界の中 彼の手が私の頬に触れた。 息が混じる程の距離 そんな僅かな空間を挟んで 彼はただじっと私の瞳を覗く。 (……やめて ) 何かを探ろうとするそれを 見返す事が出来ない私は、逸らすように目を閉じた。 波打つ心音を何度か聞いた時、 ワインの仄かな香りが鼻を掠め、唇に別の感触が落ちた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

551人が本棚に入れています
本棚に追加