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「…? 何ですか…?」
その表情が読めずに訝し気に訊ねると、
伸びてきた長い指が目の前で小さく揺れた。
(―――――――――――――)
ビクリ、と心臓が跳ねる。
その瞬間、
「言いたいこと
思い切り我慢してるって顔だな、と思って」
「―――――――――――」
止まりかける足を無理に急き立てると、
「 今の渡瀬様は、お客様ですから 」
綺麗に口元を上げて隣を見上げた。
少しの間を置いて息をついた彼は
視線を遠くに向けて歩き出す。
それに引かれるようにして私も足を進めた。
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