心の奥、見えない気持ち

37/39
512人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「…? 何ですか…?」 その表情が読めずに訝し気に訊ねると、 伸びてきた長い指が目の前で小さく揺れた。 (―――――――――――――) ビクリ、と心臓が跳ねる。 その瞬間、 「言いたいこと  思い切り我慢してるって顔だな、と思って」 「―――――――――――」 止まりかける足を無理に急き立てると、 「 今の渡瀬様は、お客様ですから 」 綺麗に口元を上げて隣を見上げた。 少しの間を置いて息をついた彼は 視線を遠くに向けて歩き出す。 それに引かれるようにして私も足を進めた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!