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じっと睨むように見つめているのに
その唇はいつまで経っても開く事はなくて、
(――――まさか答えないつもり…?
ならどうして訊ねるのよ )
溜まっていたものをひとつ口にすれば、
今まで抱えていたものが解け出して止まらない
「私をこうして連れて来た理由だって判らないわ
――だいたい、
一度も連絡してこないし
あなたの言う ”単純な興味” だって
尽きたんじゃないの?」
視界の端に映る景色は
いつの間にか住宅街に変わって
一気にまくし立てた私は
肩で大きく息をついた。
そんな私を横目に、彼は口元を僅かに上げる。
その目やその仕草が
私の苛々を加速させて、
一方通行の会話にならない会話に
我慢ならなくなってきた時、
「この先で」
彼はそう運転手に告げた。
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