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「ちょ…と…っ」
どんどんと奥に進んでしまう彼に、
このままここに留まる訳にもいかなくて
(――――もうっ )
迷いつつも小走りについて歩いた。
カチャリ と、鍵が回る音が響く。
それと同時にドアを開いた彼は、
視線だけで中へと促した。
――――もう、何なのか判らない
だけどこんな所まで来てしまったら
成り行きに身を任せるしかなくて、
「……………………」
視線に押されるようにして
そろりと足を踏み入れると、
幾つかの明かりが点いている他は
真夜中らしい静まりを見せていた。
少しほっとした時、
伸びてきた手が私の手首を掴んで
廊下を抜け、奥の階段を上がり始める。
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