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「……えっ、なに…」
目を開く私をよそに、
彼は大きなクローゼットを開けると
取り出した服の片方を手渡した。
私たちの手の中には
同じようなシャツとハーフパンツ
更に大きく目が開く私に、
「この部屋の奥にシャワーがあるから
冷蔵庫はこっち 自由に使って」
それだけ言うと
彼は傍を通り過ぎて部屋を後にする。
バタンと響いたドアの音で
意識を戻された私は、急いで後ろを振り返った。
だけどもう姿はなくて、
無駄に上質な部屋にその余韻だけが残る。
途端に脳裏を掠めるのは
初めて彼を誘ったあの日の記憶
「…本当、なにっ 」
無意識に怒り任せの声が漏れた。
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