心の奥、見えない気持ち #2

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急にこんな所に連れて来ておいて また部屋を出ていくなんて (……有り得ないっ ) 沸々とした怒りが止まらなくて 「廊下に出るなって、なんなのよ」 無視して帰ってやろうかと 一瞬そちらに足を向けるけれど、 ここがあの人の実家なら リード製薬の社長か会長のお宅っていう事 こんな深夜に誰かに見つかったら―――― 「―――もう!」 『 渡瀬 朔に連れて来られました 』 そう言った所で信じて貰えないだろうし、 不法侵入と断定されかねない 渡されたシャツをぐしゃりと握りしめると それがふわりとした手触りと香りを連れて、 「―――――――――――」 苛々とした気持ちを抱えたまま 私はもう一度辺りを見渡した。
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