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急にこんな所に連れて来ておいて
また部屋を出ていくなんて
(……有り得ないっ )
沸々とした怒りが止まらなくて
「廊下に出るなって、なんなのよ」
無視して帰ってやろうかと
一瞬そちらに足を向けるけれど、
ここがあの人の実家なら
リード製薬の社長か会長のお宅っていう事
こんな深夜に誰かに見つかったら――――
「―――もう!」
『 渡瀬 朔に連れて来られました 』
そう言った所で信じて貰えないだろうし、
不法侵入と断定されかねない
渡されたシャツをぐしゃりと握りしめると
それがふわりとした手触りと香りを連れて、
「―――――――――――」
苛々とした気持ちを抱えたまま
私はもう一度辺りを見渡した。
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