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「―――――――――――――」
一瞬、心が揺れた。
遮った言葉が宙に浮いて
見下ろされた瞳が痛いくらい私を捉える。
だけど―――、
「…それはあなただって同じよ
私にはあなたが何も、判らないわ 」
静かに言い捨てると
襖を開けて靴に足を滑らせた。
(―――早く )
この場から去りたい
…聞きたくない
これ以上私を傷つけないで
そのまま振り返らずに
ざわめく店内を抜けて外へと飛び出す。
路地の突当りの駅で改札をくぐり、
息を切らしてホームへと下りると
電車が行ったばかりなのか、私以外誰も居なかった。
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