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息を整えながら時計を見上げると
あと数分で日付が変わる。
”自分の事を何も言わないのに、
どうやって知るなんて出来る? ”
「…なによ、 なんなのよ…」
言いようのない感情がせり上がって
「勝手な事言わないで……」
呟いた声が一層胸を締め付ける。
おもむろにスマホを取り出すと、
開いた星5つのアドレスを眺めながら指を数回押した。
『 消去しますか? 』
浮かんだ表示に、画面の上で指が止まる。
(―――――――――)
ぐっと噛んだ唇が鈍く痛んだ私は
それから目を外して電源を落とした。
大きく吹いた風が頬を撫でた時、
「……意気地なしね、 私も…」
ひと気のないホームに
消えそうな程小さな声が浮かぶ。
だけどこのすぐ後に
彼から着信があった事を知っていたとしたら…
私の心は 別の方へと向かっていたんだろうか
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