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「えっと、薬用は…」
私は顔をしかめながらポーチの中を探る。
知らず知らず噛んでしまった唇が
なかなか治らなくて、
普段使いのじゃなく
どこかにあったはずの薬用のリップクリームを探していた。
あの時からずっと鈍く痛むせいで、
いつまでもその時の気持ちがなくならない
( もう、さっさと治さなきゃ )
内心舌打ちしつつ引き出しを開けた時、
忘れていた葉書が目に留まった。
(―――――あ……)
書かれている出欠の締切は7月16日
今日の日付だった。
暫く躊躇った後、
それを拾い上げて何度か文字を追う。
逸る心音がだんだんと音を立て始めた時、
私はゆっくりと後ろを振り返った。
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