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スマホを手に取り、
記載されていたアドレスを入力した後、
『 小川真白です 参加します 』
それだけの簡潔な文章を指先で送る。
そのメール画面がふっと消えたと同時に
胸の奥から大きな息が漏れた。
―――送ってしまった
だけどもう
真っ白な自分には戻れないし、戻らない
なら 本気で吹っ切らなきゃ
私の中でずっと燻ってるものを 何もかも
同窓会は東京湾で
来月最初の土曜日、午後6時から
( あの男が来るとは限らないし、大丈夫よ )
自分に言い聞かせて
もう一度引き出しへと目を落とすと、
探していたリップクリームが転がっていた。
塗るとじんとして
鈍く痛んだ場所を一層色濃くさせる。
(―――もう、 ホント最低 )
私はそれと葉書を引き出しに放って
もう一度長い息を吐き出した。
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