決戦の土曜日

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( えっと……、) 二階には船首と船尾にひとつずつ部屋があるようだった。 きょろきょろしつつ船首の部屋に行ってみると 『第二高校同窓会』の貼り紙が目に留まる。 開いてあったドアを抜ければ、 既に和気藹々とした空気の中で それぞれの場所で話に花が咲いているようだった。 ( 一人で来てるのは私くらい、よね ) 大きく息を吸い、深呼吸をする。 それと同時にいつもの笑みを携えて 何となく覚えのある顔へと近付いた。 「 こんばんは、久しぶり 」 「……こんばんは…?  えっと…」 急に話掛けた私に 女の子達は一様に顔を見合わせた。 ”誰?”という雰囲気に 私は「ごめん、」とふっと笑うと、 「随分とご無沙汰だけど、  私、小川です  小川真白 」 「―――えええ!   小川さん?  ごめん、全然わかんなかった  久しぶりー!  卒業してすぐに東京出てたって聞いたけど」 一気に沸き上がる声に なんだなんだと辺りの視線が向く。
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