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一瞬訪れた静寂の後、どよめきが走った。
「ま、まじで」
「すごい 東京
そんな人が普通にいるんだ
……ってか、小川と知り合い? …なんで…」
「小川さん、
ローツの受付してるって言ってたし、
もしかしてそれで顔見知りなのかも」
口ぐちに上がる声の真ん中で
手の中のボトルをぎゅっと握りしめた時、
「…元彼?」
ざわめきに混じって静かに届いた言葉に、
ドクンと心臓が跳ねた。
いつしかと同じ物言いが額に冷たい汗を滲ませて、
「そうだけど…
あなたには関係ないでしょう
―――小川、
取りあえず出よう? 」
男の手が私へとゆっくりと伸びる。
(―――やめて……っ )
そう心の中で叫んだ瞬間
ぐらりと体が傾いて、
「くだらない男をいつまでも引き摺ってる
この人もこの人だけど…、
その元凶のあんたには
――――心底苛々する 」
耳元で聞こえた声が鼓膜を震わせた。
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